伯父さんの留守番電話がフラッシュバックした。めまいがした。
悪魔だ。
いつもいっしょに笑ってるナミは悪魔だった。
会えばいつもさわやかに挨拶してくれる畑山くんも、悪魔だった。
まず恐怖がこみ上がった。そして、嫌悪感、不信感、怒り、悲しみと、順にやってくる。これからどうしたらいいんだろって不安にもなった。それでも最後にムクムクとふくれ上がったのは、あきらめにも似た、メンドクセェって感情だったよ。
どうする必要も、ないか。わたしがすることなんか、ひとつもないか。黙ってたらいい。知らないふりしてたらいい。そしたらいつも通り、バカなことばかりしゃべって笑ってる、ウチらのままだね?
こんなこと平気で思えるわたしも、悪魔だ。知っている。
みっちゃんに会いたいと思った。
この世界でただひとり、悪魔ではないみっちゃんの、キタキツネに似た顔が見たい。涼しい声が聴きたい。そうして、その声で、寒々しくて優しい言葉をかけてほしい。
おかしいの。ナミと畑山くんのキスシーンを見たときもへっちゃらだったのに、みっちゃんのこと考えたとたん、すごく泣きたい気持ちになったよ。きっとみっちゃんはバカにして笑うんだろう。わたしもいっしょに笑いたいよ。
みっちゃんと、いっしょに、いたい。