水樹くんがどうしてもと言うので、3人でも写真を撮った。仕方ない。でもなぜか水樹くんがまんなかだった。これはぜんぜん仕方なくない。
シャッターは武士のカッコをしてるお兄さんに頼んだ。黒田官兵衛だってさ。こんなにイケメンなわけがねえ、絶対に。
撮った写真はメールに添付し、すぐにしょうちゃんに送った。『修学旅行に来てるよ!』に対する返信は、笑っちゃうくらい冷たい『シネ』だったよ。信じらんない。
『ミツはいらねえんだよ。』
ほんと、この高校球児は文面でも口がワリィなぁ。
『奈歩ひとりのほうがよかった?』
と送ると、
『当たり前だろ。ふざけんな。』
と返ってくる。当たり前なのかよ。おもしろいなあ。
次はなんと送ろうかと、画面とにらめっこしていると、みっちゃんの顔がひょいっと近づいてくるのが視界の端に見えた。反射的にメール画面を閉じたけど、いまのはヤな感じだったかもって、次の瞬間にはなんとなく思った。
「松田?」
気の抜けそうな、みっちゃんの間延びした声。
「うん、そうだよ」
わたしがなんでもなく答えると、みっちゃんも特に興味なさげに、ふうん、と息を漏らした。
「ねえ、今度さ、また夏、しょうちゃん帰ってくるでしょ? そのときは3人で遊びたいよね」
「なんでだよ、いいよ、おれは」
みっちゃんは軽い感じで笑う。
ちょっと拒否された気がして、なんだかすごくさみしい気持ちになってしまった。でも、そう思うのは間違いだってことも、なんとなく、どこかで自覚していた。