なんとなくものすごくうれしい気持ちになってしまった。

みっちゃんとのあいだにある絆みたいななにかを、わたしはこのタイミングで、身をもって実感したんだ。
みっちゃんとのあいだにあると思っている運命的ななにかが、わたしの味方になってくれたと、心から思ったんだ。

こんな小さな、くだらないことで。自分でも、ほんとにそう思う。


いじわるなメールがきたことに対して、不服でしょうがねえって顔を一生懸命つくりながら、わたしは白のケータイを隣のバスのほうへ向けた。

みっちゃんは少し驚いたような顔をしたあとで、それでも次の瞬間には遠慮がちなピースサインを顔の横でかまえた。さすがだね。わたしがいまなにをしてるのか、言わなくても、みっちゃんはわかってくれる。

――カシャ

手元でケータイ独特のシャッター音が鳴った。同時に、ガラス2枚を隔てたパラレルワールドに住むみっちゃんは、この小さな機械に閉じこめられた。うわ、ヘンな顔。中途半端な笑顔のときにシャッター切っちゃった。


『あとでいっしょに写真とろ』

『いいよ』


画面上でのそういうやりとりが終わったくらいで、バスは再び低い音をうならせ、ゆったり前進し始める。どうやらサービスエリアに停まっていたみたい。

わたしよりも先に進んでいく5組のみっちゃんを、追いかける1組のわたしは、ひたすら目で追っていた。みっちゃんも、わたしを見ていた。


そうかあ、きのうはぜんぜん気にしていなかったけど、みっちゃんもいっしょに修学旅行に来てるんだな。いまさら実感してる。

べったりだとか、旦那とか嫁とか言われてるけど、こういうところ、わたしたちはけっこうドライな関係なのかもしれない。