みっちゃんは、友達の友達。そういう微妙な、そしてありきたりな存在だった。


「そう、川野奈歩です! 光村くん、はじめてホンモノに会えた!」


噂に聞いていた、ミツムラクン。
頭のいいらしい、ミツムラクン。

写真でしか見たことのなかった顔がいま実際に目の前にある!

本当に色白でつり目なんだなあ。キツネっぽい顔だ。雪景色のなかにいるから、キタキツネだ。


「うわ、びっくりした。はじめまして、光村です。川野さん、松田からいろいろ話は聞いてるよ」


言いながら立ち上がったみっちゃんはうんと背が高いので、知らないうちに背筋がぴんと伸びる。


「わたしもしょうちゃんからいろいろ聞いてる! あと、こないだの中間テストで学年トップだったのも知ってる!」

「え、なんで」


みっちゃんは、ぜんぜん困ってないくせに、すっかり困ったってふうに笑った。


「おれ、テストの結果まで松田に言ってないんだけどな」


『マツダ』。『ショウチャン』。

わたしたちの共通の話題はそこだけなので自然と彼の名前があがるのはしょうがない。松田祥太郎(しょうたろう)は、いまは大阪に野球留学をしている、わたしたちの友人だ。


「ねえ、よろしくね、光村くん!」

「うん、よろしく、川野さん」


白い息がふたりぶん、冬の曇り空の下で混ざりあって、やがてふわりと消えていった。