甘ったるいカレーを食べながら、みっちゃんの話をした。

背が高いこと。そのぶんスタイルが抜群で、黒い学生服がよく似合うこと。キタキツネみたいな顔をしていること。めちゃめちゃかしこいこと。でもふつうにしゃべってるときはそこらへんの高校生と変わらないこと。

わたしがしょうもない点数をとっても、根気よく勉強を見てくれること。

優しいこと。

たまにいじわるなこと。


みっちゃんと出会ってまだ2か月くらいなのに、わたし、みっちゃんのことでずっとしゃべっていられる。まるで大好きみたいで嫌だ。事実、大好きだからしょうがない。


「『みっちゃん』は、奈歩の好きな人なの?」


お母さんにそう言われて、あ、やっぱりそういうふうに見えるのかって、純粋に納得してしまった。


「好きだけど、好きな人じゃない」


お母さんも、お父さんも、羽月も、わたしにとって好きな人。そういうカテゴライズなら、みっちゃんもたぶん、好きな人。

でも、いまお母さんが言った『好きな人』ってのはそういう意味とは違うんだろうって思ったから、わたしは迷わず首を横に振った。


「みっちゃんはねえ、なんだろう、不思議な存在だよ。ほかの誰とも違う感じ。それは、はじめて顔を見てしゃべったときすぐに思ったね、あ、この人は違うなって」

「ええ、ぜんぜんわかんないな?」


お母さんが眉を上げて笑う。娘がなにを言わんとしているのか本当に理解できないという顔だ。


「信じられないくらいウマが合うんだ。タマシイの波長が合うっていうの? ほんとにこの世にそういう現象が存在するんだなって、みっちゃんと出会ってはじめて知ったんだよね。不思議だよね、決定的ななにかがあったわけでもないのに」


想像以上にむずかしい。みっちゃんのこと、言葉にして説明するのはたぶん無理だって思った。

でも誰かにこの感じをわかってほしいともぜんぜん思わないから不思議。どうしてもうまく言えないよ。