交互にペットボトルを渡しあっていると、ふいに視界が青く光った。強烈に。でも、とびきり優しく。
目のなかに星が生まれた気がした。
目の前に続く道の両サイドには、もう葉を落としきった、さみしい大木がどこまでもわたしを待ち構えていて、いくつもの青い電球がネックレスのように彼らの身体を彩っていた。イルミネーションだ。
――まぶしい。
最初の感想が口からぽろりとこぼれる。みっちゃんは笑った。
「そこは、きれい、だろ」
きれいかな?
きれいなのかな?
イルミネーションってきれいだと思ったことがないのだ。だって人工の電球だから。どうがんばったってこんなの、たくさんのまあるい電球がピカピカしてるだけにしか見えない。
きれいというより、まぶしい。あと、電気代いくらかかってんだろうとか気になってしまう。
でもこの景色は、みっちゃんがわたしにくれた、ごほうびだ。
そう思ったら自然と口からこぼれ落ちていた。
「きれい――」
隣にみっちゃんがいるから、きれい。
みっちゃんが笑ってるから、きれい。
手をつないでいた。触っているだけみたいな、優しいつながり方だった。もしかしたらわたしがつかんでるだけなのかもしれない。
でもみっちゃんは、振りほどかない。
みっちゃんはわたしを拒まない。
ずっとこの景色のなかにいたいような、いっそこの景色になりたいような気がしていた。
手をつないだまま――わたしがみっちゃんの手をつかんだまま、永遠とも思える並木道を歩く。ゆっくり、ゆっくり、歩いた。それでも青の楽園は3分後には終わっていた。
永遠なんていう陳腐なもの、この世界に存在しないって思い知らされた。
それでも、そういう一瞬の時間だからこそ、わたしはこの青い世界を美しく感じられたのかもしれない。