わたしいまどんな顔をしてるんだろう。いつも涼しいみっちゃんに、こんなにも必死な表情をさせてしまうくらいには、ひっでえ顔してるんだろうなあ。

たぶんきょうが人生最悪の年の瀬。


「連絡する余裕が、なかったんじゃないんだと思う」


あと3分。


「みっちゃんとの仲を疑われたよ。ううん、疑ってるんじゃない、確信してるみたいな言い方だった」

「……奈歩」

「違うの。みっちゃんのせいだって言ってるんじゃないよ。わたしたちがダメになったのはもっと別のところに原因があって……」


あと、2分。


「でも、責められてるみたいだった。みっちゃんのことを大好きだって思う気持ちを、否定されたみたいだった」


しょうちゃんに。水樹くんに。羽月に。――この世界中から。


「みっちゃん、でもわたしは、みっちゃんがいないと生きていけないの。間違いでも、誰に責められても、どうしようもないんだよ」


あと、1分。59、58、57、……カウントダウンがいっそう盛り上がっていく。今年の端っこにわたしを取り残したまま、時間だけが流れ星のような速度で進んでいく。


「ねえ、みっちゃんだけは、消えないでいて」


いつか願ったのと同じことを、わたしはもう一度願った。


「わたしがみっちゃんを大好きだって思う気持ちを、みっちゃんだけは、間違いだって言わないでいて」


ほかの全員に非難されたってかまわないから。


「奈歩は……しょうがないやつだな」


しょうがない。涼しい声がいつものようにそうつぶやいたのと同時に、新しい年はやってきた。

地球がわたしたちふたりを置き去りにしたまま動きを休めなくても、みっちゃんを手に入れているわたしはたぶん、誰より無敵のはずだ。