大晦日とか、新年とか、年越しとか、合格祈願とか、どうでもいい。
そんなふうに思ってしまうわたしは、やっぱり嫌になるほど自分のことしか考えていない。
「……しょうちゃんと、そんな話をしてたんじゃない」
わたしはやっと言った。めったにそんなふうにはならないみっちゃんが、めずらしくあからさまに顔色を変えた。
「みっちゃん、わたし、高1のときからしょうちゃんを好きだったの」
今度はわたしがしゃべる番だ。
誰にも言わず、ひっそりと片想いしていたこと。今年の夏にその想いが叶ったこと。それでも最近は連絡をあまりとっておらず、うまくいっていなかったこと。
そして――ついさっき本当の終焉を迎えたこと。
この場にこぼして置き去りにするように、わたしは夢中で話した。
「……そんなことだろうと、思ってた」
わたしがしゃべり終えるのを待ってから、みっちゃんは静かに言った。
「奈歩と松田が好きどうしなのはなんとなく気付いてたよ。そっか、付き合ってたんだな」
遠くのほうで「あと10分!」という誰かの声が聞こえた。焦った。あと10分のうちにすべてを置き去りにしなければ、わたしは永遠に来年という未来には行けないような気がしていた。
「でも、付き合ってても、わたしはお母さんが亡くなったことを知らなかった。なんにも気付かなかった。連絡が減ってたの、受験があるからだとか、気持ちが冷めたからだとか、勝手に解釈して」
「しょうがないよ」
みっちゃんはいつも、しょうがないって、言うね。きっとわざわざ選んでそう言ってくれているんだ。
「松田だってあんまりにも大変で、奈歩に連絡する余裕がなかったんだ。だから『気付かなかった』んじゃない、奈歩が悪かったわけじゃない。しょうがないことだ、奈歩、考える必要のないことまで考えるな」
あと5分、誰かが叫んだ。