「応援してる学校があるの?」
花純ちゃんは質問をやめない。けっこうぐいぐいくるんだなあ。
「うん、まあね、ちょっと」
曖昧に答え、画面をリロードする。3回の表だったのが裏に変わっていた。
しょうちゃんたちは先攻だった。上の段に3つならんだ0を見て、神に祈りたい気持ちになった。大阪大会の8強どうしともなるとやっぱりレベルが段違いだね。いまだ両チームとも得点は無しだ。
しょうちゃんには今朝メールを送った。きょうに限らず試合の日は欠かさず送っている。ちゃんと大阪大会の日程を把握しているところに自分でもげんなりする。それでもしょうちゃんはいつも試合が始まる前に返事をくれるのだ。ありがとう、がんばってくるわ、という、飾らない、かっこつけない文面が、いつもとても好きだなあと思うよ。
ああ、やっぱり大阪まで見に行きたかったなあ。
「……ねえ、奈歩ちゃんってさ」
「うん?」
「光村くんのことどう思ってるの?」
思わず噎せそうになった。画面にかじりついているところに予想だにしない質問をぶっ込まれたんだもん。
みっちゃん? 急に、なんで?
「みっちゃんのことは大好きだよ」
わたしは答えた。いたってなんでもなく。
でも花純ちゃんは、そんな答えは求めてないってふうな、とても不満げな表情を一瞬だけ見せた。
「それは、異性としての、恋愛感情としてのスキとは、違うんだよね?」
なんだか責められているみたいだ。画面から顔を上げ、じっと花純ちゃんの顔を見た。しばらくの無言のあとでふいに彼女はにこっと笑った。
「光村くんも奈歩ちゃんのこと大好きって言ってたよ」
これは、肯定するべきなのか、否定するべきなのか。ふだんてきとうに受け流すような言葉なのに、きょうはまじめにそんな二択を考えてしまう。