こうこうと輝く陽の光を一身に浴びながら、地球上でわたしたちだけがひっそり静まり返っているような気分になった。

わたしのゴメンに対し、ふたりはいいとも悪いとも言わなかった。許すとも許さないとも言わなかった。

果てのない沈黙だけがただ流れ続けている。どこか別の惑星に飛ばされてしまったように思える。酸素のない、重力のない、そういう場所に、この教室だけがぽっかり浮かんでいるように思える。


「……そういうところ」


ふいに、ミキが言った。わずかながら酸素が生まれた気がした。


「奈歩のそういうところ、嫌い」

「……うん」

「八方美人なところ。肝心なこと言わないところ。他人なんかどうでもいいって思ってるところ」

「うん、ごめん」


ボロクソに言われても、全部きっちり当たってるから言い返せないじゃん。


「でも、そういうトボけた奈歩といると、楽しくてしょうがない」


ミキは泣きながら、でもきっぱりとそう言った。


「楽しかった。奈歩と、ナミといっしょにいたとき、すごい楽しかった。ほんとにふたりのこと大好きだった」


わたしもすごい、楽しかったよ。たくさん撮った3人での写真、笑ってるのも、変顔してるのも、1枚も消せないでいるんだ。

でもそれは、“思い出”だ。

きっともう二度と取り戻せない思い出だ。


「大好きなのはウチだけだったのかなあ……っ?」


知らないうちに涙が頬を伝って落ちていた。わたしに泣く資格なんかないのに、あとからあとからあふれ出るそれをどうにも止められなかった。ナミも同じだ。オレンジ色の宇宙のなか、わたしたちは3人で泣いた。


「ウチ、奈歩みたいに感情を押し殺すのが上手じゃない。ナミみたいにいろんなこと笑ってかわせない。だから、ふたりのこと、大好きだったから、大好きだったからこそ、もう……」


ミキのそういう正直すぎるところ、わたしも嫌いだったよ。ミキにはほんとに困らせられてばかりだった。

でも、大好きだった。そういうミキといっしょにいると、すごい楽しかった。