みっちゃんとはもちろん違うクラスだ。わたしが2組で、みっちゃんが6組。去年は1組と5組だったから実質の距離は変わってない。つまんね。


「山田さんとはいっしょのクラス?」

「ううん……」


羽月も、違うクラスだよ。1組。3年間、見事にというべきか、羽月とはまるっとかぶらなかったね。それどころか同じクラスになったのは中2のときだけだ。

よほどわたしがツマンネって顔をしていたのか、みっちゃんは気を取り直すように明るい声を出した。


「ま、でも曽根さんと同じだからいいじゃん」


いいのか、悪いのか。

いや、よかったんだ。
きっとよかったんだ。

ナミと話がしたいよ。あの一件以来、ずっと話していないから、ナミにはミキの味方についたんだと思われているかもしれない。きっとそう。でも違うんだって言いたい。一言でいいから謝りたい。

そのチャンスを、きっと神様がくれたんだ。

あとは、その絶好の機会を、わたしが活かせるかどうかなんだけど……。


「あーあ。みっちゃんと同じクラスがよかった」

「奈歩のアタマの出来がもうちょい良ければなぁ」

「理系科目以外はできるもんねーだ」

「おや、センター試験には数学も生物もありますよ、川野サン」

「あー、なんにも聞こえない!」


どこへ行っても受験、受験、受験。センター試験、赤本、模試、小論文、エトセトラ。ああ、みっちゃんさえもそんなこと言うのかよ!

頭が痛いよ。いまからこんなふうで、1年後、わたしは大学生とやらになれているのかな。

わたしはどこの大学に通っているのかな。

みっちゃんは、どうかな?

頭のいいみっちゃんと、頭の悪いわたしが、バリバリの理系のみっちゃんと、おもいきり文系のわたしが、同じ大学に行くわけがない。行けない。99.9%の確率で別々だよ。


「みっちゃん、大学……」

「うん?」

「……ううん。なんでもないや」


もしそうなったらどうなるんだろう?

わたしたちは、どうなるんだろう?