3年生になった。同時に受験生になった。実感はぜんぜん湧かない。でも先生たちがウルセェので、謎のプレッシャーだけは全身にびんびん感じている。

お気に入りのセーラー服を着て迎える春ももう3回目。

最後の春がいちばん居心地悪いだなんてこと、2年前は想像もしていなかったよ。



「みっちゃん、どうしよう」


相変わらず背の高いキタキツネは、わたしの右側で自転車を連れながらだるそうに歩いていた。


「なにが?」

「ナミといっしょのクラスになっちゃった……」


みっちゃんはふうんと言いながら首をひねった。


「よかったじゃん」


え?

……ああ、そっか。遠い理系クラスにいるみっちゃんにとっては、わたしたちはまだ“仲良し3人組”なんだっけか。

なんだかふっと気が抜けたような感じ。そういえばわたし、ミキとナミと畑山くんのこと、結局みっちゃんに話してないんだったね……。


「あ、中本さんだけが別のクラスだからって話?」


みっちゃんは思いついたように言った。

当たらずとも遠からずって感じだったので、うなずくと、涼しげな顔はあきれたってふうに笑った。わたしが普段さんざん愚痴を言うので、みっちゃんもミキの性格はよくわかっているらしい。

ミキは“仲良し3人組”のうちひとりだけハジかれたとなると怒りくるうタイプの女の子だ。なんでよりによって自分だけが違うクラスなんだ、とかなんとかって。実際、今回もそう言って八つ当たりされた。なだめるのにひと苦労だった。


「奈歩も大変だな」


まあね。それに今回はワケが違うんだよ。わたしとナミが同じクラス、ミキだけが別のクラスになってしまったということの意味は、『大変』なんて言葉で片付けられるようなものじゃない。もっとどでかい、おそろしい問題だ。

けど、まあ、ミキとナミが同じクラスになるよりかはマシだった。そんなことになっていたらとうとうわたしの胃に穴があいていたと思う。