◇◇
朝の9時に駅に集合――だったのに、その時間に目覚めたわたしはとんでもないやつだ。でも予告されたようにはシメられなかった。10時になってやっと駅に到着したわたしに、しょうちゃんはあきれたように笑っただけだ。
「行くか」
年が明けたというのに、新年の挨拶もナシだよ、この男。さすがだね。
「どこへ?」
「いいから」
ついてこいと言わんばかりに、球児のたくましい脚はずかずか歩いていく。わたしは付き人のように黙ってついていく。
ああ、つい1時間に起きたばかりだからか、なんだか頭がぼうっとしているよ。しょうちゃんの広い背中がゆらゆらしている。きょうも青いダウンジャケットだ。
その青が歩みを止めたのは、意外にも駅のすぐ近く、こぢんまりしたビルの入り口の前だった。入口――というより、裏口?
どこかの会社か、自治体が運営する建物かな? こんな場所にこんなビル、あったっけな? ていうか、ここに、なんの用があるんだろう……。
あれこれ考えているうちに、しょうちゃんはためらいもせずにドアを開けた。そして無遠慮に入っていく。わたしは固まったまま、動けずにいた。
「……なにしてんの?」
それはたぶんこっちの台詞だ。
「勝手に入っていいの……?」
「いいよ。おれら、中学ンときよく遊びに入ってた」
しょうちゃんがとんでもねえ悪ガキだったって話、ほんとだったんだな。この男とはたしかに中学のころから知り合いだけど、そういう顔は知らなかった。
朝の9時に駅に集合――だったのに、その時間に目覚めたわたしはとんでもないやつだ。でも予告されたようにはシメられなかった。10時になってやっと駅に到着したわたしに、しょうちゃんはあきれたように笑っただけだ。
「行くか」
年が明けたというのに、新年の挨拶もナシだよ、この男。さすがだね。
「どこへ?」
「いいから」
ついてこいと言わんばかりに、球児のたくましい脚はずかずか歩いていく。わたしは付き人のように黙ってついていく。
ああ、つい1時間に起きたばかりだからか、なんだか頭がぼうっとしているよ。しょうちゃんの広い背中がゆらゆらしている。きょうも青いダウンジャケットだ。
その青が歩みを止めたのは、意外にも駅のすぐ近く、こぢんまりしたビルの入り口の前だった。入口――というより、裏口?
どこかの会社か、自治体が運営する建物かな? こんな場所にこんなビル、あったっけな? ていうか、ここに、なんの用があるんだろう……。
あれこれ考えているうちに、しょうちゃんはためらいもせずにドアを開けた。そして無遠慮に入っていく。わたしは固まったまま、動けずにいた。
「……なにしてんの?」
それはたぶんこっちの台詞だ。
「勝手に入っていいの……?」
「いいよ。おれら、中学ンときよく遊びに入ってた」
しょうちゃんがとんでもねえ悪ガキだったって話、ほんとだったんだな。この男とはたしかに中学のころから知り合いだけど、そういう顔は知らなかった。