ふたりが思い出話をしているのを聞きながら、黙ってポテトを咀嚼していた。

アカネとチホはわりと仲が良いらしい。4人とも中学3年のときは同じクラスで、2組とも自然消滅だったって。みっちゃんとアカネのほうはみっちゃんが悪くて、しょうちゃんとチホのほうはチホが悪かったっぽい。話を聞く限り。

めちゃくちゃお願いして写真も見せてもらった。いやあ、こわいよ。わたしもヨシダの友達にこんなふうに見られたりしているのかな?

あ、なんだ、ほんとにかわいいじゃん、アカネ。チホはギャルっぽい感じ。きれい。さてはふたりとも相当な面食いだな。


「奈歩もヨシダの顔出せよ」


ずっと避けていたのに、しょうちゃんがいきなりそんなことを言いやがった。みっちゃんが誰と問う。奈歩の元カレだとハスキーボイスが答える。


「なんでよ、いいよ、しょうちゃんは顔知ってるでしょ、チームメイトだったんだし」

「ミツが知らねえだろ」

「なんでみっちゃんにヨシダの顔見せなきゃなんないわけ!」


すぐ右側にある白い頬に軽くこぶしをぶつけると、みっちゃんはわたしの手首をつかんで、その切れ長の目をさらに細めるとニヤリと笑った。


「おれも見たいなあ、ヨシダ」


ぜんっぜん思ってないね! からかってバカにしてるだけだ。これはみっちゃんお得意のしょうもないいじわるだ。


「わたしの元カレなんか見てもなんにも楽しくないよ」

「それは奈歩が決めることじゃないよ」


ほんと、頭がいいやつってのは、いちいち返しがキレていて嫌だなあ。

ケータイの画像フォルダをかなり遡った。途中、ミキとナミと3人で撮った写メやプリクラが大量に出てきて、こんなタイミングで泣きたい気持ちになった。

ヨシダなんかどうでもいいよ。終わった話なんだから。

ミキとナミのことは、伯父さんやおじいちゃんのことは、お母さんとの冷戦は、そんなふうに割りきれない。