◇◇
球技大会は、ミキとナミとわたし、3人ともが別々のチームに収まった。ミキがバレーのA、ナミがバスケ、わたしがバレーのB。
ミキはわたしといっしょのチームになりたがっていたけど、公平にくじ引きで決めた結果、こうなったのだった。正直かなりほっとしてしまったよ。ただ、まわりの女子たちが変に気を遣ってくれていて、それだけはどうにも居心地悪かった。
わたしですらかなり気を遣われているんだから、バレーAチームは大変だろうなあ。ミキは少し感情を抑えるということを覚えたほうがいい。けっこういままで、ナミやわたしは、いろんなフォローをしてきたんだっけね……。
ナミとちゃんと話がしたい。
たまにすごく思う。
でもきっと、なにを話したって意味がないんだろうし、もしかしたらナミを傷つけてしまうだけかもしれない。もっといろんなものがこじれるだけかもしれない。
やっぱりアレコレ考えてしまって身動きのとれないわたしは、ほんとにイクジナシのロクデナシだ。
「――あれっ? 川野さんじゃん」
紙パックのピーチティーをちゅうと飲みながら木陰で涼んでいるところに、マシュマロのような甘い声が降ってきた。
「ひとり?」
「うん、ひとり」
「そっかそっか」
水樹くんがどかりと隣に腰かける。さらさらな土の上のくだらない落書きを、わたしがスニーカーで乱暴に消すのを、ふたつの重たいたれ目はじっと見つめていた。
「みっちゃんと同じチームじゃないんだね」
「そうそう。おれは野球のルールすらわかんないからね」
なんとなくふたり同時に扇形のグラウンドへ目を向ける。扇形のうち、限りなく外のほうでグローブをかまえるみっちゃんは、きょうの球技大会でソフトボールに抜てきされたみたいだった。
ポジションはまんなか、センターだね。さっきからなかなかたくさんフライが飛んできているけど、ちゃんとひとつも漏らさずに捕球してる。えらいぞ。しょうちゃんはヘタクソだって言ってたけど、きちんと野球少年だったんだなあ。
「川野さんこそ、あの子たちとはいっしょじゃないんだ?」
ミキとナミのことかな。ミキとナミのことだろうな。
へらりと笑って曖昧にうなずくと、水樹くんも同じようにへらりと笑った。
球技大会は、ミキとナミとわたし、3人ともが別々のチームに収まった。ミキがバレーのA、ナミがバスケ、わたしがバレーのB。
ミキはわたしといっしょのチームになりたがっていたけど、公平にくじ引きで決めた結果、こうなったのだった。正直かなりほっとしてしまったよ。ただ、まわりの女子たちが変に気を遣ってくれていて、それだけはどうにも居心地悪かった。
わたしですらかなり気を遣われているんだから、バレーAチームは大変だろうなあ。ミキは少し感情を抑えるということを覚えたほうがいい。けっこういままで、ナミやわたしは、いろんなフォローをしてきたんだっけね……。
ナミとちゃんと話がしたい。
たまにすごく思う。
でもきっと、なにを話したって意味がないんだろうし、もしかしたらナミを傷つけてしまうだけかもしれない。もっといろんなものがこじれるだけかもしれない。
やっぱりアレコレ考えてしまって身動きのとれないわたしは、ほんとにイクジナシのロクデナシだ。
「――あれっ? 川野さんじゃん」
紙パックのピーチティーをちゅうと飲みながら木陰で涼んでいるところに、マシュマロのような甘い声が降ってきた。
「ひとり?」
「うん、ひとり」
「そっかそっか」
水樹くんがどかりと隣に腰かける。さらさらな土の上のくだらない落書きを、わたしがスニーカーで乱暴に消すのを、ふたつの重たいたれ目はじっと見つめていた。
「みっちゃんと同じチームじゃないんだね」
「そうそう。おれは野球のルールすらわかんないからね」
なんとなくふたり同時に扇形のグラウンドへ目を向ける。扇形のうち、限りなく外のほうでグローブをかまえるみっちゃんは、きょうの球技大会でソフトボールに抜てきされたみたいだった。
ポジションはまんなか、センターだね。さっきからなかなかたくさんフライが飛んできているけど、ちゃんとひとつも漏らさずに捕球してる。えらいぞ。しょうちゃんはヘタクソだって言ってたけど、きちんと野球少年だったんだなあ。
「川野さんこそ、あの子たちとはいっしょじゃないんだ?」
ミキとナミのことかな。ミキとナミのことだろうな。
へらりと笑って曖昧にうなずくと、水樹くんも同じようにへらりと笑った。