――『俺は、マナちゃんが好きだけど、サトシとも友達でいたいんだ』
今朝、実里さんが引き出したトモくんの本当の気持ち。わたしには、その心境がよくわかった。
マナちゃんのことが好き。だけど、サトシくんとも友達でいたい。
この関係を変えたくない。だけど、変えたい。
「……わたしもね、トモくんと同じだったんだ」
「同じって?」
「好きな人と親友が、両想いになったの」
トモくんの目がまっすぐにわたしを見て、言葉の続きを待っている。無垢なその表情に、少し気圧された。
わたしは実里さんのように、うまくトモくんを励ましてあげることはできないかもしれない。でも、背中を押してあげたいとは思う。同じような経験をしたひとりとして。
「それでわたし、自分でも嫌になるくらい拗ねちゃって。ひとりで悲劇のヒロインにひたって、何ひとつ自分の気持ちを伝えなかったの」
「じゃあタマちゃん、その子のこと今も好きなの?」
「えっ?」