若干予想はしていたけれど、ノアの部屋の汚れたるや、男子部屋の恐怖ここに極まれりという感じだった。

ホウキを床に滑らせるたび、埃がキラキラとある意味美しく舞い上がる。薪ストーブの木屑なんかも、そこらじゅうに落ちている。
きわめつけは綿毛のような塊がいくつもあった。えぐい。

せっせと掃除をするわたしとは裏腹に、ノアはベッドで寝息をたてている。

さっき寝るのを嫌がったわりには、見事な寝入りっぷりだ。やっぱり風邪で体力が落ちているんだろう。


そうして掃除を終えた頃、わたしは急に手持ち無沙汰になってしまった。

寝ているノアを起こすわけにはいかないし、何をしよう。

そうだ。ノアが起きたときに喉が渇いているかもしれないから、スポーツドリンクでも買ってこようっと。ついでに、喉ごしのいいプリンなんかも。

わたしはバッグを持って、ノアを起こさないよう静かに部屋を出た。


   ***


勝也さんに遭遇してしまったのは、玄関のドアを出たときだった。