じゃあ、もしかして。と、わたしは思った。

家族との関係も、それに当てはまるんだろうか。ねじれた世界を築いていたのは、もしかしてわたし自身……?

――ううん、違う。原因はやっぱり親だ。

だって、わたしは家族が仲良くできるよう願っているのに、それを壊すのはいつも親の方だもん。

きっとそうだ、絶対そうだ。

心の中で何度もそう繰り返すと、開きかけた扉が閉まるような音が聞こえた気がした。


   ***


山の中腹の一軒家を訪れることは、ほとんど日課になりつつある。

あの家に行くと心がほっとして、不思議な安心感に包まれるから。

家の前に到着し、いつものように庭を覗きこむと、昨日ノアが座っていた切りカブは白い雪で覆われていた。生クリームでコーティングしたホールケーキみたい。

ノアは、家の中にいるんだろうか。

呼び出しのチャイムは壊れているし、大声で呼んで勝也さんに見つかるのも嫌なので、わたしはノアの部屋の窓を叩いてみることにした。

もちろん、勝也さんに「踏むな」と怒られたところは踏まないように気を付けて。