実里さんの予言通り、わたしたちが朝食をとり始めて三分もすると、ふすまの扉の向こうに小さな頭がソーッと現れた。
今朝のメニューは手作りのパンにベーコンエッグ、具だくさんのクラムチャウダー。どれもこれも、いい匂いがするものばかりだ。
「おはよ、トモ」
実里さんが声をかけると、一瞬ビクッと反応する小さな頭。それから、のろのろとトモくんが部屋に入ってくる。
「食べな」
「……いただきます」
ひどくバツの悪そうな顔で、トモくんは朝食を口に運ぶ。明らかに落ち込んでいるものの、ちゃんと完食したのはさすがだ。
全員がほぼ同時に食べ終わると、実里さんは静かな口調でトモくんに尋ねた。
「トモ。何があったの?」
「………」
トモくんが両膝を抱えて黙りこくる。
なぜか無関係のわたしまで、胸がぎゅうーっと苦しくなった。なんだろう、この重苦しい感じ。
あ、そうか。わたし、お母さんのことを思い出してるんだ。