いつの間にか、空は夕焼けと夜のはざまの色に染まっていた。

用水路から上がったわたしたちは、疲労感で地べたにへたりこんだ。

服は膝どころか上半身までずぶ濡れで、鎧を着たように重たい。


「……全部は、拾えなかったかもしれないけど」


拾い集めた写真を、肩で息をしながらわたしに差し出すノア。

水滴がぽたぽたと、彼の服から落ちてゆく。それは地面に水玉模様を描き、じんわりとにじんだ。

水に浸かった写真たちは、すっかりふやけてしまっていた。もう、昔のようにキレイな形には戻らないだろう。

けれど、失くしたわけじゃない。ちゃんと、ここにある。

わたしは写真を受け取り、それを胸に押し当てた。とたんに涙腺がゆるんで、写真をかき抱くように背を丸めた。


「タマちゃん?」

「……っ、わたし……」


嗚咽が漏れて、声が変になる。

けれど話したかった。ノアに聞いてもらいたい、と思った。


「わたしっ……変わってしまうことが、辛かったの……っ」

「うん」