晴れ渡った冬の空は、どこまでも突き抜けるように高い。
冷たい風が、体中の細胞を目覚めさせていく。
移り変わる景色。自転車のチェーンが高速で回転する音。
町が後ろに流れていく。太陽はどこまでもついてくる。
もっと風を感じたくて、ペダルに乗せた足に力をこめると、ぐん、と体が前に突き出した。
制服の下に、じっとりと汗がにじんでいる。
呼吸が速い。太ももの筋肉が重い。だけどわたしは、自転車をこぐ足をゆるめない。
進め、進め。前へ、前へ。
前へ――。
やがて交通量の多い場所に差しかかり、道路には車の長い列ができていた。わたしの瞳に、いろんな人たちの姿が映った。
渋滞でイライラしてクラクションを鳴らす運転手。
忙しそうに電話をかけているサラリーマン。
眠い目をこすりながら、軒先の掃除をするコンビニの店員さん。
いろんな人と感情がごちゃ混ぜの、だけど愛すべき、この世界……。