心地いい、ただ真っ白な光の中。わたしはひとりで立っている。

ここはどこだろう……ぐるりと視線をめぐらせて、それから心臓がどくんと揺れた。

光の中に、なつかしい後ろ姿を見つけたから。


『ノア!』


華奢な背中に駆け寄り、わたしは夢中で抱きついた。夢だとわかっていても、どうしようもなく嬉しさがこみ上げる。

ふわりと揺れる金色の髪。たしかに感じる体温。甘いにおい。


『ノアっ……会いに来てくれたんだね』

『タマちゃん』


ふいに名前を呼ばれ、わたしは顔を上げた。後ろ姿だから表情は見えない。

でも、きっと君は笑ってる。何も変わらない笑顔で、そこにいる。なぜかそう感じた。


『忘れないで。タマちゃんを大切に想う人は、たくさんいるんだ』

『……え?』

『俺は、君が生きていくこの世界の、すべてが愛しい』


そうつぶやいた次の瞬間、彼の姿がすうっと消えた。


『ノア……?』


空っぽになった腕の中。君はもう、そこにいない。