恐る恐る、わたしは体の向きを変えた。
徐々に移り変わる視界に、まず淡い金色が映る。朝日を浴びてまぶしいほどのそれは、隣で寝ている誰かの髪らしい。
そして、さらに視界を動かすと。
そこに現れたのは、見知らぬ男の寝顔だった。
「ひっ……!」
思わず悲鳴が漏れてしまった。口元を手で押さえて飛び起きる。
その気配に気づいたのか「ん……」とまぶたを擦り始める男。
わたしは一目散にベッドから飛び降りた。が、下半身がやけにスース―して、ボトムを履いていないことに気づき――
今度こそ悲鳴が炸裂するのを抑えきれなかった。
「あ、起きたの?」
そう言って上体を起こした男が、ベッドを降りてこようとしたので、わたしは完全にパニックになった。落ち着けと言う方が無理がある。なにしろ、異性とこんな状況になるのは生まれて初めてたのだ。
しかも、相手は見知らぬ男。その上、どう見てもチャラい金髪。これはもうヤバい匂いしかしない。
とにもかくにも、この無駄にラブリーなお星様柄のパンツを隠さなければ。
「服っ! わ、わたしの服は」
「ああ、そこに」
男の指さした方を見ると、見慣れた洋服類、そしてバッグがまとめて置いてあった。
わたしは大慌てでボトムに足を通し、荷物を引っつかむと、脱兎の勢いで部屋を出た。