「学校でいつも、お前のこと見てたんだって。最初は、俺と仲がいいから視界に入るだけだったけど、いつのまにか目で追ってたって」
わたしは言葉を失った。
雄大くんがバイトに参加したのは、わたしがいたから……?
てっきり翼が彼を誘ったんだと思っていた。冷やかし半分でわたしとカップルにしようと、翼と美那子が企んだのだと思いこんでいた。
でも、本当は。
――『環にも、幸せになってもらいたいもん』
あのときの美那子の言葉は、本心だったんだ。わたしが勝手にひねくれた捉え方をしていただけで……。
絶句するわたしの肩に、美那子がそっと手を乗せた。
「雄大くん、まじめに環のこと想ってるよ。明日から新学期が始まったら、少し話してみたらどうかな」
「う、ん……」
嬉しい気持ちは、正直ある。だけどわたしは、あいまいな返事をすることしかできなかった。