そういえば以前、ノアが話してくれたっけ。彼が引き取られた家には、お兄ちゃんもいたということを。
今はふたりとも天国だけど、そこで再会できていたらいいな。
そして、何ひとつ苦しむことのない世界で、ふたり仲良くしていたらいい。心から、そう思った。
***
「あのときは、嘘をついて本当にごめん!」
冬休み最後の日。わたしは、翼と美那子に会った。
新年のおめでたいムードににぎわう街中で、深々と頭を下げたわたしに、ふたりから返ってきた言葉はやさしいものだった。
「まったく、お前は人騒がせだよな」
場をなごませるように、わざと憎まれ口をたたく翼。
「でも、環が無事だったから何よりだよ」
心底安心したような美那子。
わたしはそろりと頭を上げた。
「いっぱい心配させて、迷惑かけたよね。ごめん」
「ううん、環。ていうか、わたしの方こそ……」