「お前、どうして……」
どうして気づいたんだ、と訊きたいのだろう。わたしは少し口ごもりながら答えた。
「もし、不快な言い方になったらごめんなさい。違和感は前からあったんです。
家のカレンダーが四年前で止まっていたこととか、勝也さんが食事しているのを一度も見なかったこととか……」
ドーナツを渡したときも、受け取ってくれたけど食べるのを見たわけじゃない。ノアの看病をしている間も、勝也さんは水すら一口も飲まなかった。
「それに、勝也さんはノアの秘密を知っていましたよね。その時点で、勝也さんも普通の人間じゃないと思ったんです」
「だからって、なぜ祖父だとわかった?」
「それは」
わたしはゆっくりと、まばたきをひとつしてから答えた。
「写真です」
「……写真?」
階段下の棚に入っていた、アルバムの中の一枚。たまたま見てしまったその写真には、真新しいあの家が映っていた。