「勝也さん。本当にありがとうございました。お世話に――」

「悪かった」

「え?」

「お前には最初、きつく当たってしまった」


わたしは目を見張り、言葉を失った。まさか勝也さんの口から、あやまられるとは思ってもみなかった。

正直わたしも最初は、どうしてこんなに邪険にされるのだろうと感じていたけれど。

今はもう、その理由を知っている。確証はないけれど、なぜだかわかる。


「あやまらないでください。……勝也さんはわざときつく当たることで、わたしを家に帰らせようとしたんですよね? 親に嘘をついてこの町にいることを、知っていたから」


今度は勝也さんの方が、目を見張る番だった。わたしは言葉を続けた。


「心配してくれて、本当にありがとう。
勝也さん……ううん、おじいちゃん」


見開いた勝也さんの目が、さらに大きく開いていく。その表情を見て、自分の直観がまちがいではなかったと確信した。


そう、この人はおじいちゃん――わたしが小六のときに事故で亡くなった、お母さんの父親だ。