草原の景色に、ちらちらと白いものが重なるのが見える。それが雪だと気づいたわたしは、息をのんだ。


「うそ……こんなに晴れてるのに」


晴れの日に散る雪を、風花と呼ぶらしい。この雪も単なる偶然の自然現状かもしれない。

だとしても、今のわたしには、君からのメッセージに思えたんだ。

わたしは高い青空を見上げた。けっして触れられない、けれどいつもそこにある空。


今、大声で心から叫びたい。

君のことが大好きだと。君に出逢えて、わたしは本当に幸せだったと――。



……そのとき。バッグの中から、なつかしい音がした。

七日ぶりに聞く電子音。バッグを開いて見ると、壊れたはずのスマホが、たしかに光を灯しながら鳴っていた。

画面に表示されていたのは、お母さんの名前。わたしは信じられない気持ちで、震える手にスマホを取り、電話に出た。


「もしもし……」

『環!?』


お母さんだ。お母さんの声だ……。