確信は、あった。もうすぐあの景色にたどり着くと。

背丈ほどもある茂みを、わたしはかき分けながら進んでいく。

草木がぼうぼうに密生し、ほとんど前が見えない。木の枝が頬にこすれて痛いけど、そんなの全然かまわなかった。

茂みの向こうに、徐々に光が見えてくる。

あと少し。もうすぐだ。
わたしは大きく一歩を踏み出した――。


瞬間、ざあっと音をたてて、風が真正面から吹き抜けた。

冷たさが目に刺さり、ぎゅっとまぶたを閉じる。

後ろに流れていた髪が、ふわりと肩に落ちた。わたしはゆっくりと目を開いた。


「……ああ」


たどり着いた。

ノア。わたし、ちゃんと自分の足で、あの日と同じこの場所にたどり着いたよ。


パノラマの視界に広がるのは、冬の草原。

ゆるやかな丘一面を、クリーム色の葉が絨毯のように覆っている。それは太陽をあびて、金色に輝いていた。

草原の向こうには、吸いこまれるような水色の空。悠々と流れる白い雲。

大地の呼吸すら聞こえてきそうな静寂に、鳥のさえずりだけが響いている。