ノアの字だ。

つたない、けれど一生懸命書いたのがわかるその文字は、わたしへ宛てた手紙だと一目でわかる。

最初の一文は、こうだった。


『さあ、宝さがしをはじめよう!』


体に電流が走った。背後に立つ勝也さんを振り向くと、彼はすべてわかっていたような表情でうなずいた。

そうか、勝也さんはこれを見せるために、わたしをここに連れてきたんだ……。

わたしは手紙に視線を戻し、続きを読んだ。



『だいじょうぶ、きみはぜったい見つけられるよ。

かぞくで歩いたあの日のきおくは、心のどこかに必ずのこっているから。

タマちゃん。よく思いだして。

あのきれいなけしきを、もういっかい見つけよう』



胸に熱いものが突き上げてくる。

いったい、いつのまにノアはこんな手紙を入れたんだろう。その答えは、少し考えればすぐにわかった。