もうだめだ。何度もそう思ったけれど、ノアはそのたびに持ちこたえた。ほとんど驚異的とも言える忍耐力で。


「……がんばって」


同じ言葉をくり返し、彼の寝顔に訴える。だけど、がんばれと言うのが正しいのかどうか、だんだんわからなくなってきた。

限界はとうに超えているはずだ。

それでも必死に、ノアは命のふちにしがみついている。どうしてそんなにがんばれるんだろう、と切なくなるほどに。


胃がきりきり痛い。実里さんがくれたお弁当を少しでも食べようとしたものの、まったく喉を通らなかった。

ハンバーグ、ポテトサラダ、トマトのマリネ、ハート型の目玉焼き。

ノアが元気なときなら、絶対に喜んで食べたはずだ。

わたしの分までぺろりと平らげて、ふにゃりと幸せそうなあの笑顔を浮かべて――。


「……っ」


泣くな。こんなにがんばっているノアの前で泣いちゃいけない。

そう自分に言い聞かせても、涙は勝手にあふれてくる。