きゅっと唇をかむと、わたしはドアノブから手を離し、再び勝也さんの隣に腰を下ろした。


「最期まで見届けてやろう」


勝也さんの手が、頭をぐしゃぐしゃと撫でた。



   ***



終わりのないモノなんてないのに、どうしてわたしたちは誰かを愛してしまうんだろう。

求めて、願って、それでも見つからない永遠の幸せは、いったいどこにあるんだろう。



ぱちん、と電球に明かりが灯り、部屋の中が明るくなった。

いつの間にか日が暮れていたのだと、勝也さんが電気を点けてくれたことで初めて気づく。

壁にもたれて腰を下ろした勝也さんも、ベッドの傍らでノアに寄り添うわたしも、さっきからずっと黙りこんだままだ。


――『最期まで見届けてやろう』


勝也さんの言葉にうなずいてから、長い長い時間が過ぎた。

その間にノアは数回、激しいけいれんを起こした。

目を限界まで見開き、あやつり人形のように体をガクガクさせる姿は、見ているだけでも気が狂いそうだった。