「がんばって。お願い……」


どうして見守ることしかできないんだろう。

目の前でノアが、こんなにも弱っているのに。ノアに助けてもらったわたしの命の、半分だけでも分けることができたらいいのに。

ねえ、ノア。やっとわたし、君に伝えたい言葉を言えたのに、こんなの悲しすぎるよ。

ノアだって、願いが叶って人間の姿になれたんでしょう? これからふたりで一緒にしたいこと、いっぱいあるじゃん。

君の無邪気な笑顔、もっと見せてよ。宝探しも、まだ途中だよ。あのきれいな景色、一緒に見るんじゃなかったの……?


「少しは眠ったらどうだ?」


いつの間にか部屋に入ってきていた勝也さんが、背後から言った。わたしはそれに答えず、背を向けたまま質問を口にした。


「勝也さんは、知ってたんですか? ノアの秘密を」

「………」


彼もまた答えない。けれど沈黙は今、何よりの肯定だった。

床のきしむ音が近づいてくる。勝也さんがわたしの隣で足を止め、どかっと座りこんだ。

思わず肩が跳ねるほど大きな音をたてたのに、ノアはまったく反応を示さない。