頭の上の方で、ノアが息を吸いこむ音がした。


「ありがとう……でも本当にごめん。もう、限界なんだ」


その言葉を言い終えるや否や。

正面に立っていた彼の体が、半円を描くように真横へと傾いた。

ずさり、と嫌な音が地面から聞こえる。冷たい泥がはねて、わたしの足にかかる。

おそるおそる視線を落とすと、そこにあったのは力なく横たわる彼だった。


「ノアっ!!」


わたしの叫び声が、冬の星空に響いた。