「トモくん。サトシくんと仲直りできてよかったね」

「うん。マナちゃんもさっき来てくれて、俺、告白したよ」

「すごいじゃん!」


それは、ほんの二時間ほど前のこと。お見舞いに来たマナちゃんに、トモくんはついに告白をしたらしい。

が、返ってきた答えは「ノー」。
マナちゃんいわく、「森で勇気を証明するようなガキはお断り」だったそうだ。


「あはは。やっぱ女の子の方がしっかりしてるね」

実里さんが笑うと、


「もう女子なんか知らねえ。サトシと遊んでるのが一番楽しいや」

と、トモくんがふくれっ面になった。

けれどその表情は、どこか清々しくも見える。


トモくんは、自分の気持ちをちゃんとぶつけたんだ。大事なのは結果じゃない。自分が、自分の心を大切にしてあげること。

わたしもノアに伝えよう。

固い決意が胸に宿るのを感じながら、わたしは床に置いたバッグを持ち上げ、肩にかけた。