え、まじで? この状況で寝ちゃうの? ひざまくらで眠るノアを見ながら、わたしは苦笑いをこぼした。
ほんとに、変な人。
怖がって抱きついてきたかと思えば、無防備に寝落ちして。
いつも明るいかと思えば、複雑な過去を持っていて。
ひょうひょうとしているかと思えば、時にすごく熱くて。
出逢ってまだ数日なのに、わたしの心をひょいと持っていった――不思議な人。
うつぶせで眠るノアの背中が、寝息に合わせて上下している。うなじから肩にかけての美しいライン。
襟首が開いた服のせいで、背中が少しのぞいていた。なめらかなその部分の肌に、ほくろらしき茶色が見える。
――って、わたしは何をじろじろ観察してるんだ。変態か。
ひとりで突っ込んでひとりで赤面していると、いきなりノアの目が開き、わたしは焦った。
「お、おはよっ」
「誰か叫んでる」
「え?」