そんなわたしの言葉とタイミングを合わせたかのように、突然、激しい轟音が遠くの空で鳴り響いた。


「ひゃああっ!」


悲鳴を上げたのは、わたしではなくノアだった。と同時に、飛び上がった彼の体がわたしに絡みつく。

またひとつ雷鳴が響き、ふっと電気が消えた。


「の、ノア……?」


雷よりも、停電よりも、この密着した体勢にわたしの鼓動は速くなった。

床に座っているわたしの腰に、がっちりと回された二本の腕。お腹のあたりに息遣いを感じ、太ももの上に重みが乗っている。

暗闇でよく見えないけれど、ノアは床に這いつくばった状態でわたしにしがみついているんだろう。


「もしかして……雷、苦手なの?」


返事の代わりに、小刻みな体の震えが伝わってくる。どくんどくんと早鐘を打つ心音が、ふたつ。わたしのと、ノアのだ。