「おばさんって、今までも倒れたことはあったの?」


一階へと降りていくエレベーターの中でわたしは尋ねた。


「うん。昔から持病があるんだ。時々発作を起こすことがあって」

「そうなんだ……」

「こっちに引っ越してからは、空気がきれいなおかげか調子よかったんだけど。久しぶりに倒れたって聞いてすげえ焦った」


でも真緒がいてくれて助かったよ。蒼ちゃんはそう言って微笑み、少しおどけた仕草でぺこっとお辞儀をした。

その屈託のない笑顔や、人懐っこい雰囲気。わたしが知っている通りの蒼ちゃんに、なつかしさのような気持ちがこみ上げる。