「ええ。理由を聞いても答えてくれないし、新しい学校の先生も、蒼が水泳部に入るのを楽しみにしてくださっていたから残念で。
……でもまあ、あの子が決めたことならいいのよ。スポーツでどんなすごい成績をおさめるかより、ただ元気でいてくれれば、それでじゅうぶんだから」


わたしは同意するようにうなずいて、もう一度壁の写真を見つめた。

蒼ちゃんの弾ける笑顔。
金色に輝くトロフィー。

そしてそれを持つ、彼の左手の甲には、あの傷痕がはっきりと写っている。


「あっ……」


そこで突然、あることを思い出してわたしは息をのんだ。