黒い無地のTシャツに、黒いハーフパンツの花江くん。
黒づくめのせいか色白な顔がよけいに白く見えるけど、表情は明るくて思ったより体調が良さそうだ。
「モニターに茅野さんが映ってたから、びっくりしたよ」
わたしたちを招き入れながら、花江くんがどこか楽し気な口調で言った。
「急に押しかけてごめんね」
「ううん。昨日の夜にはもう熱下がってたし、実は元気でヒマしてたんだ」
「そうなんだ、よかった。あ、こっちはわたしの友達の」
「乃田千歳でーす。今日は真緒に便乗して来ちゃいました」
初対面の壁をぶち破るような千歳のノリに、花江くんがつられたように笑った。
こんな調子で誰とでもすぐに仲良くなれるのが千歳のすごいところだ。
通された花江くんの部屋は、二階の一番奥だった。
大きな家具は机とベッドくらいで、新築特有の真っ白な壁がほとんど剥き出しになっている。