この先にどんな未来があるのか今はまだわからないけれど。

怖くても、きっと大丈夫だ。

一緒に行こう。蒼ちゃん、凪さん、……ホタル。




    * * * 



途中のパーキングエリアで短い休憩をはさみ、高速道路を降りたのは昼前だった。

ぱらぱらと降り始めた雨が車の窓ガラスを濡らしていく。見慣れない東京の街並みがぼんやりと滲み、青ざめて見えた。

しばらく走ると、街の雰囲気ががらりと変わった。

いわゆる高級住宅街というやつだろう。なだらかな坂道に沿って、重厚な塀に囲まれた豪邸が建ち並んでいる。


「この通りを抜ければ待ち伏せする喫茶店はすぐだ。萩尾氏が来るまで、近くに車を停めて待機しよう」


凪さんが冷静な声でそう言うと、わたしの隣に座る蒼ちゃんに明らかな緊張が走った。

……大丈夫だよ、蒼ちゃん。
わたしは祈るような気持ちで彼を見つめる。

大丈夫、きっとうまくいく。わたしや凪さんもそばにいるし、ホタルもついてるから。


「あれ?」


凪さんが車のスピードを落としたのはそのときだった。