「前にも言ったでしょ。わたしはいつでも真緒の味方だって。
蒼ちゃんと真緒の身に何が起きてるのかは知らないし、たいして役に立てないかもしれない。
だけど、何があっても真緒を独りにはさせないよ。そのくらいのことなら、わたしたちにもできるから」

「………」


千歳の後ろで跳ねる水しぶきが、太陽できらきらと光っている。

照れ笑いをする千歳と、ボートを操縦しながらうなずいている大和と、それから隣の蒼ちゃんを順番に見つめた。

ああ、わたし、ちゃんと居場所はあったんだ。

こんなわたしを大切に想ってくれている人たちが、すぐそばにいた。


「……ありがとう。ほんとに。ありがとう」


すべてを無事に終えて家に帰ったら、もう一度お母さんと話をしよう。そんな気持ちが、ふと芽生えた。

逃げないで、あきらめないで、次こそはきちんと向き合って、自分の気持ちを伝えよう――。




   * * *