ホタルがあきれたように鼻で笑い、わざと嫌味な口調で答えた。


「お前らみたいなバカばっかりで行かせたら、失敗すんのは目に見えてるだろ」


いつもの憎まれ口なのに、それがなぜか切なくて胸が締めつけられる。

もしかしたらホタルは、今ここにいること自体が奇跡なのかもしれない。
本来ならすでに統合されていた存在なのだから。

本当はすごく不安定で、いついなくなっても不思議じゃないのかもしれない。


「……消えないでね、ホタル」


きっと、こんなこと言うべきじゃなくて。言ってもどうにもならなくて。

だけどこれが、大切な自分自身の気持ちだから……伝えたい。

わたしはホタルの左手をそっと握った。びくっと肩を震わせたホタルが、固い表情でわたしを見つめる。


『大っ嫌いだ、あんたなんか!』


ホタルと初めてケンカしたとき、そんな言葉を口走ってしまったわたし。

あの頃は、彼の手は人を傷つけるためだけのものだと勝手に決めつけていた。

でも、違った。
ホタルのこの左手に、わたしは何度助けられてきただろう。

きっとホタルは蒼ちゃんのこともずっと守ってきたんだ。

必死で守ろうと、庇おうと、生まれたその日から小さな手にナイフを握りしめて生きてきたんだ。