土曜……ちょうど顔合わせの食事会がある日だ。今日は水曜だから、あとたったの3日。

じゃあ、それを過ぎたらホタルはもう、この世界にいないかもしれないということ?


「嘘。そんなの」


思わず無意味な抵抗を口走ったわたしを、痛々しそうな瞳で凪さんが見つめた。それでもなお、わたしは食い下がらずにはいられなかった。


「凪さん、嘘ですよね? だってホタルは、自分の意志で出たり入ったりできるって言ってたんですよ? 
蒼ちゃんに対して主導権を持ってるホタルが、こんな簡単に消えたりなんて――」

「たしかに以前ならそうだったと思う。でも今は、完全に蒼の方が主導権を握っているんだ。
たぶん、復讐という目的に迷いが生じたことで、ホタルが急激に力を失ったから」


わたしは息をのんだ。凪さんが言いにくそうに、だけど毅然と話を続ける。


「そして何よりも大きいのは、蒼の変化だ。本気で向き合う決心をしたことで蒼自身が強くなった。そこには真緒ちゃん、君との出逢いも大きく関わっているんだと思うよ」

「………」