「え?」

「今日はずっと元気なかったでしょ。何か悩みでもあるのかなあって心配で」


千歳……気づいてたんだ。

以前のわたしは、もっと感情を隠すのがうまかったのに、最近はいろんな気持ちが勝手に漏れ出してしまっている。


「ごめん。わたしが暗い顔してたら、千歳も楽しくなかったよね」

「え、なんでそうなるの? あやまるとこじゃ全然ないじゃん。わたしは真緒が悩んでるなら支えたいし、無理して笑われる方がよっぽど嫌だよ」


責めるわけでも催促するわけでもなく、ごく自然に受け入れようとしてくれる千歳に、いっそすべてをぶちまけてしまいたくなる。

でもダメだ。甘えちゃいけない。

わたしが今悩んでいること自体、けっして許される悩みではないのだから……。


「ありがとう……いつか、話せるときがきたら話すから。今はごめん」

「うん、大丈夫だよ。わたしはいつでも真緒の味方だからね」


千歳はそう言うと、ふいうちでラムネジュースの瓶をわたしの首に押し当ててきた。


「ひゃっ」

冷たさにわたしは飛び上がり、してやったりと彼女が笑う。