波の砕ける音と、子どもたちの楽しそうな笑い声が、遠くから重なって響いてくる。

頭上のスピーカーから流れている音楽は、ひと夏の刺激的な恋を歌ったヒットソングだ。

たしかCMでも使われている曲だっけ。なんてぼんやり考えていると、ふいに千歳がわたしの手元を見て言った。


「真緒、また新しいブレスレット作ったんだね」

「あ……うん」

「きれい。その青い石、何ていうの?」


のぞきこむように瞳が近づいてくる。わたしはとっさに空いている方の手でブレスレットを隠すように覆った。


「さあ。適当に選んだから知らなくて……」

「暑っちい~! 俺もちょっと休憩!」


千歳の後ろからぬっと現れた大和が、地べたにしゃがみこんで扇風機を自分の方に向けた。


「ちょっと大和! 独り占めしないでよ」

「いいじゃねーか。俺は焼きそば係だからお前らより暑いんだよ」

「わたしたちだって汗ダクだし」


扇風機の真ん前でしゃべって声が宇宙人みたいになっている大和を、千歳がコツンと拳で叩く。

言い合いしながらも仲睦まじい空気のふたり。お似合いだなあ、とわたしは目を細めた。