しびれを切らしたホタルに怒鳴られ、わたしはあわてて彼の肩に両手をついた。
一拍置いて、ふわりと地面から離れる足。
なるべく体が当たらないようにしよう、と両手に力をこめたけれど、そんなのはムダな抵抗でしかなかった。
どうしても触れ合ってしまうのだ。隙間なく重なる面積の大きさに、わたしは息が苦しくなる。
……体が、熱い。
どっちの体温かわからないくらい熱くて、皮膚の内側までじんじんする。
ホタルがゆっくり歩き始めると、振動がわたしにも伝わってきた。
かすかな汗と、石鹸の混じった甘い匂い。頭上で連なるちょうちんの灯が、やけに煌々とまぶしく見える。
「……お、重くない?」
「重いな。腕が折れそうだ」
「えっ、嘘! やだ!」
とっさに暴れたものの、二本の腕にがっちりホールドされて下りられない。
「やだやだっ、下ろして! お願い! やだもーっ!」
こんなの恥ずかしすぎる。ダイエットしておけばよかった。