そこにカメラのシャッター音が割りこんできた。
「凪さん!」
「やあ、こんばんは」
首から下げた一眼レフカメラに両手を添えながら、凪さんが輪に入ってくる。
「勝手に撮ってごめんね。あんまり楽しそうだったから、ついシャッター切っちゃって」
凪さんはわたしにそう言うと、ホタルに視線を移してにっこり微笑んだ。
次から次に現れる知り合いに、うんざりした様子でホタルが舌を打つ。
「もう行くぞ、真緒」
突然、ぐいっと右手が引っ張られた。
体が前のめりになり、だけど転ばなかったのは、わたしの右手とつながった手が――ホタルの左手が、体重を支えてくれたからだ。
「え、ちょ、ちょっと……!」
凪さんたちに挨拶をする間も与えられず、わたしは強引に連れ去られてしまった。