ホタルが狙いを定めて銃の引き金を引いた。
ぱんっ、と空気の破裂する音。

結果は景品に見事命中! 
――とは行かず、残念ながらハズレだった。


「あ~、蒼ちゃん惜しい」

「打つ時の姿勢が悪いんだよ。貸してみな」


ホタルから銃をひょいと奪った大和が、さっと構えて、ぱっと打つ。

飛び出したコルクは中段ど真ん中の景品に当たり、千歳が歓声を上げた。


「すごーい、大和!」

「ま、俺は子どもの頃から射的マスターしてっからな」


大和が誇らしげに顎を突き上げる。
ホタルは無反応を保っているものの、微動だにしない能面のような顔が、悔しさを物語っているようだ。

と、次の瞬間。
何も言わずに素早い動作でホタルが大和から銃を奪い返した。

――ぱんっ! 

弾ける音が響き、上段左端の景品が勢いよく倒れる。
さっき大和が当てた的より難しそうな位置の、しかも重くて倒れにくそうなやつ。

一瞬の展開に唖然とする大和たちに、ホタルが高圧的に言い放った。


「僕も今、マスターした」