それに実際、家に貢献しているのはお母さんだけで、まだ学生のわたしはまぎれもなく居候だ。下手すりゃ不良債権だ。
せめてわたしのせいでお母さんが責められることのないよう、精一杯おじいちゃんの機嫌を取るしかないんだ……。
わたしは気を取り直して、勉強に集中することにした。
そういえば英語の授業でよくわからないところがあったと思い出し、復習のために鞄から教科書を取り出した。
「あれ?」
開こうと思ったところとは別のページが、自動的にふわりと開いた。まるで栞をはさんでいるように。
だけどそこにあったのは栞ではなく、封筒に入った一通の手紙だった。
何だろう……こんなものをはさんだ覚えはないんだけど。
「あ」
もしかして、あのとき。廊下で花江くんとぶつかったとき。彼のカバンの中身も散乱していたから、入れ替わってしまったのかもしれない。